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アートバイタル通信

Vol.1 ルーベンス

画家と外交官、二足の草鞋で時代を駆け抜ける

1600年代前半にイタリアなどで活躍したルーベンスは「美術史上、最も成功した画家」と言われています。生涯に描いた作品は約2000点。 多作とされるヴィンセント・ヴァン・ゴッホのほぼ2倍です。出世作は「レルマ公騎馬像」。鮮やかな青空の下、足元に描かれた騎馬隊を率いる姿が堂々と描かれています。

レルマ公騎馬像 1603年(プラド美術館)

薄暗い室内でポーズをとるだけの従来の肖像画とは異なり、対象となる王侯貴族が最も活躍したであろう場面を描いたルーベンスはヨーロッパ各国で人気を博しました。さらに、数か国語を操れたことで国を超えた信頼感を獲得し、外交官としても活躍しました。超のつく多忙さでありながら、なぜ多くの作品を描くことができたのか。それは、100人もの弟子を使って「工房」を運営したからです。 起床は早朝4時。創作活動をしながら外交のための手紙を口述したという逸話も残っています。ルーベンス作品のもうひとつの特徴は、「鏡を見るヴィーナス」に代表される豊満な女性。

鏡を見るヴィーナス 1614年
(リヒテンシュタイン公爵家)

その理由は「ふくよかな体形がお好みだったから」。オランダ語で「ルーベンス的な」というと「ふくよかな女性」を意味するほどです。ここに描かれたヴィーナスも、迫力ある美ボディ。背中やお尻から、自信や強さが滲み出ています。この作品では、ついヴィーナスの体つきや鏡に写った表情に目が行きがちですが、流れるような金髪にもぜひ注目してください。たなびく金髪がヴィーナスの美しさをいっそう引き立てていることが感じ取れると思います。
ルーベンスは49歳のときに妻を亡くし、悲しみに打ちひしがれます。失意の画家を立ち直らせたのは、4年後に新しい妻となった、当時わずか16歳!だったエレーヌ・フールマン。

毛皮のエレーヌ(ベルスケン) 1636-1638年
(アルテ・ピナコテーク)

「毛皮のエレーヌ」に描かれたように、ルーベンス好みのふくよかさです。王侯貴族から依頼された多くの肖像画とは異なり、この絵はエレーヌへの思いを込めて、
ルーベンス自身のために描いた作品。原題の「ベルスケン」は、直訳すると「毛皮ちゃん」という感じでしょうか。ルーベンスがエレーヌをいかにかわいく、いとおしく思っていたかが、ここからもうかがえます。精気を取り戻したルーベンスはさらに画業に邁進し、5人の子どもにも恵まれます。新妻は37歳も年下で、見た目はばっちり自分の好み。 「そりゃあ頑張れるよね」と思わず溜め息を漏らした男性も多いかもしれませんね。

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